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フィルムの基礎知識【計算編】で少し触れましたが今回は延伸についてもう少し詳しく紹介します。

結晶性樹脂の無延伸フィルムでは、分子の鎖が電気的に引き合い束状・帯状になり、球体の結晶になっています。
無延伸のフィルムを延伸すると分子の鎖が密な形で整列(配列)することによりフィルム特性が大幅に変化します。


1軸延伸→フィルム製造工程で1方向(主に縦方向)に機械的に引き延ばす。

2軸延伸→フィルム製造工程で2方向(縦と横方向)に機械的に引き延ばす。

無延伸フィルムから2軸延伸フィルムにした時の特性変化

力学的特性
引張強度・引張弾性 等のフィルム強度が向上する。
フィルムの腰が強くなる。印刷、コート、包装適正が向上する。
フィルムの破断伸度が小さくなる。(フィルムが破れにくくなる)
フィルムの衝撃強度が大きくなる。
フィルムの温度変化に対して力学的変化が小さくなる。

熱的特性
耐熱性・耐寒性が向上する。
熱吸収率が大きくなる。
ヒートシール性が低下する。

光学的特性
フィルムの透明性が良くなる。
フィルムの光沢が良くなる。
高温及び加工時の溶剤使用による光学的変化が小さくなる。

表面特性
フィルムの滑り性が良くなる。
フィルムの耐摩耗性が良くなり、傷がつきにくくなる。

気体透過性
酸素、CO2、N2等のガスバリアー性が良くなる。
水蒸気透過性が低下し、防湿性が良くなる。
保香性が良くなる。
耐溶剤性が向上する。

フィルムの使用可能温度
フィルム 融点 使用可能温度(℃)
OPP 165 -50~120
PET 264 -70~150
ONY 215~225 -60~140
CPP 135~165 0~120
LDPE 105~115 -50~100
LLDPE 125~130 -20~115
HDPE 135~150 -50~120
例えばOPP(延伸ポリプロピレン)とCPP(無延伸ポリプロピレン)を比べてみるとCPPでは使用可能温度は0~120度で0度以下ではもろくなり単体では使えないが、OPPでは-50~120度まで使え延伸したことにより耐寒性が向上しています。
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