2019.11.13
フィルムの基礎知識【プロピレン編】
フィルムの基礎知識【プラスチックができるまで】でナフサから分解・精製を「エチレン」、「プロピレン」、「B-B留分」、「オフガス・分解重油」、「芳香族」に分けられます。と紹介しました。今回は「プロピレン」とはどういうものなのか紹介します。 フィルムの基礎知識【プラスチックができるまで】のURLはこちら 「https://ono-plus.com/blog/フィルムの基礎知識【プラスチックができるまで/」 プロピレン プロピレンは分子式 C₃H₆、構造式 CH₂=CH-CH₃ の炭化水素の一種で、炭素の数が3個で二重結合を1個持つアルケンです。 常温下では無色の気体で、弱い不快臭がします。また引火しやすい特徴を持っています。 プロピレンからチーグラー・ナッタ触媒で重合するとポリプロピレンになります。 【重合】 一種類またはそれ以上の単位物質の分子が、二つ以上化学的に結合して、もとのものより分子量の大きい化合物をつくること 【チーグラー・ナッタ触媒】 エチレンを重合させてポリエチレンにすることのできる触媒で,トリエチルアルミニウムと四塩化チタンとの反応混合物である。広義には,これと似た有機金属化合物と遷移金属化合物から成る重合反応触媒をチーグラー触媒と呼んでいます。 アクリロニトリル アクリロニトリルは、工業的にはプロピレンから、金属酸化物触媒にアンモニアと酸素を作用させて生産されます。この方法はソハイオ法(Sohio process)もしくはアンモ酸化(ammoxidation)と呼ばれます。 CH₃-CH=CH₂+NH₃+1.5O₂→CH₂=CH―C≡N+3H₂O プロピレンオキサイド プロピレンオキサイドは別名、酸化プロピレンと呼ばれは、分子式 C₃H₆O で表される有機化合物で、エポキシドのひとつです。無色でエーテル臭を持つ可燃性液体でジエチルエーテル、エタノールなどと任意に混じり合い、水にもよく溶ける性質を持っています 塩素を利用して、クロルヒドリン法によるプロピレンオキサイドがあります。 クロルヒドリン法は、プロピレンに塩素ガスと水を反応させてクロロヒドリンとし、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの塩基によって塩化水素を脱離させて合成する方法です。アルカリと塩素の中和反応の副生成物として大量の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムが生成し、処理が必要となります。 C₃H₆+Cl₂+H₂O→C₃H₆(Cl)(OH)+ HCl 2C₃H₆(Cl)(OH)+Ca(OH)₂→C₃H₆O +CaCl₂+H₂O アセトン アセトンは有機溶媒として広く用いられる有機化合物です。無色の液体で、水、アルコール類、クロロホルム、エーテル類、ほとんどの油脂をよく溶かします。常温で高い揮発性を有し、強い引火性があります。プロピレンをワッカー酸化によって作られます。 【ワッカー酸化】 塩化パラジウムと塩化銅を触媒としてアルケンを酸素によってカルボニル化合物へ酸化する化学反応。 フェノール フェノールは、水彩絵具のような特有の薬品臭を持つ有機化合物です。芳香族化合物のひとつで、常温では白色の結晶。フェノールフタレインは無水フタル酸と2つのフェノールの3つの分子を酸性条件で縮合させることにより合成されます。ベンゼンをプロピレンと反応させてイソプロピルベンゼン(クメン)を生成します。空気酸化してヒドロペルオキシドを作り、酸で処理してフェノールとアセトンを製造するクメン法が使われます。 IPA IPAは別名2-プロパノールと呼ばれ、第二級アルコールの一種です。プロパノールの2種類の構造異性体のうちの一つで消防法に定める第4類危険物 アルコール類に該当します。プロピレンの水和反応で生成されます。 オクタノール オクタノールは別名オクチルアルコールと呼ばれ、炭素数8の脂肪族一価アルコールの総称です。 n-オクタノール、イソオクチルアルコール、2-エチルヘキサノールなど、構造異性体が存在します。 2-エチルヘキサノールはプロピレンをヒドロホルミル化してブチルアルデヒドとし、それをアルドール反応後水素化することで生成されます。 【ヒドロホルミル化】 アルケンに対して一酸化炭素と水素を付加させてアルデヒドを合成する化学反応である。 【ブチルアルデヒド】 ブチルアルデヒドは有機化合物でアルデヒドの一種です。構造的にブタンの誘導体にあたります。メチルエチルケトンの構造異性体です。ノルマルブチルアルデヒドとも呼ばれます。可燃性の無色の液体で、甘酸っぱい焦げたような刺激臭を持つ特徴があります。 【アルドール反応】 α位に水素を持つカルボニル化合物が、アルデヒドまたはケトンと反応してβ-ヒドロキシカルボニル化合物が生成する反応で、求核付加反応のひとつです。アルデヒド同士がこの反応を起こすとアルドールを生成することから、この名で呼ばれます。 【水素化】 水素ガスを還元剤として化合物に対して水素原子を付加する還元反応のことです。 ブタノール ブタノールは化学式 C₄H₁₀Oで表される炭素数4の一価アルコールの総称である。ブチルアルコールともいわれます。プロピレンをヒドロホルミル化して得られるブチルアルデヒドを還元することで1-ブタノールと2-メチル-1-プロパノールが生成されます。 【還元】 還元とは、対象とする物質が電子を受け取る化学反応のことです。または、原子の形式酸化数が小さくなる化学反応です。具体的には、物質から酸素が奪われる反応、あるいは、物質が水素と化合する反応等が相当します。 アクリル酸 アクリル酸は、化学式が CH₂=CHCOOHの不飽和カルボン酸です アクリル酸とはプロピレンを直接酸化して製造されます。 プロピレンの主要用途一覧 プロピレン ポリプロピレン 主要用途 成形品、フィルム、合成繊維 アクリロニトリル 主要用途 アクリル繊維、合成樹脂、合成ゴム プロピレンオキサイド 主要用途 ポリウレタン、不飽和ポリエステル樹脂 アセトン、フェノール、IPA 主要用途 メタクリル樹脂、フェノール樹脂、溶剤 オクタノール、ブタノール 主要用途 可塑剤、塗料溶剤 アクリル酸 主要用途 高吸水性樹脂 ONO plusのスリッター機一覧はこちら 「https://ono-plus.com/product/」 問い合わせはこちら 「https://ono-plus.com/inquiry/」