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プラスチック製品は私たちの生活に欠かせない存在ですが、長く使用すると「劣化」が避けられません。特に、車のヘッドライトカバーはその代表例であり、黄ばみや曇りが発生し、見た目や機能に影響を及ぼすことがあります。今回は、プラスチックの劣化について、車のヘッドライトカバーを例に取り上げ、詳しく解説します。


車のヘッドライトカバーとエンジニアリングプラスチック
車のヘッドライトカバーには、ポリカーボネート(PC)樹脂がよく使用されており、これはエンジニアリングプラスチックに分類されます。エンジニアリングプラスチックは、一般的なプラスチックよりも高い強度、耐熱性、耐衝撃性を持つため、自動車などの要求される性能が厳しい環境に適しています。

ポリカーボネートは透明性が高く、優れた耐衝撃性を持つため、ヘッドライトカバーに最適な素材ですが、紫外線や熱の影響を受けやすいという特性もあります。

エンジニアリングプラスチックについての記事はこちら
https://ono-plus.com/?p=1153

プラスチックの劣化の主な原因
1.紫外線(UV)劣化

 ヘッドライトカバーは長時間、太陽の紫外線にさらされます。紫外線がポリカーボネートの化学構造を破壊し、黄ばみや曇りを引き起こします。これは「光酸化反応」と呼ばれる現象です。

2.酸化

 空気中の酸素や湿気により、プラスチックが酸化します。紫外線と酸化が同時に起こることで、劣化が加速し、外観が悪化します。

3.熱

 ヘッドライトの発する熱やエンジンからの熱が影響を与え、ポリカーボネートの柔軟性を損なうことがあります。高温にさらされることで劣化が進行しやすくなります。

4.汚れと化学物質

 道路上の泥や酸性雨などの汚れが付着し、微細な傷を作ることで黄ばみや曇りが発生します。また、洗車で使われる洗剤などの化学物質も長期的には影響を与えることがあります。


劣化の影響
プラスチックが劣化すると、透明度が低下し、見た目が悪くなるだけでなく、機能にも影響が出ます。車のヘッドライトカバーが黄ばむと、夜間の視界が悪くなる可能性があり、運転の安全性が低下します。また、曇りや黄ばみは、車全体の印象を古びたものにしてしまいます。

劣化を防ぐには?
プラスチック製品の劣化を完全に防ぐことは難しいですが、劣化を遅らせるための対策があります。

・UVカットコーティング

 紫外線による劣化を防ぐため、UVカットクリーナーやコーティング剤を定期的に使用して、黄ばみや曇りを抑えることができます。

・表面の再研磨とクリアコート
 劣化が進んで黄ばみが目立つ場合は、研磨して表面をクリアに戻す方法があります。その後にクリアコートを施すことで、さらなる劣化を防ぐことができます。

・汚れの除去と洗浄
 定期的に優しい洗剤で洗浄し、道路からの汚れや酸性雨の影響を防ぐことが重要です。


まとめ
プラスチックの劣化は、紫外線、酸化、熱、汚れなどさまざまな要因によって進行します。特に車のヘッドライトカバーのように、エンジニアリングプラスチックが使用される部分は劣化しやすく、早めの対策が重要です。定期的なメンテナンスで劣化を抑え、プラスチックの美しさと機能を長持ちさせましょう!