ONO plusブログ

抱き角とはフィルムとローラーの2つの接点と、ローラーの中心をそれぞれ線でつなげた時に生まれる角度(図中θ)のことを言います。フィルム加工においてはこの角度が大きいと「抱き角が大きい」、反対に小さいと「抱き角が小さい」と表現します。抱き角はフィルム加工に大きな影響を与えます。



■抱き角が大きい
・フィルムのグリップ力がアップする
・グリップ力が高いため搬送速度を速くできる
・パスラインに抱き角が大きいロールが続くとテンションカットができる
⇒テンションカットとは巻出し・巻取りの張力バランスが1:1となるように不要な張力(テンション)をカットすることを言います。巻出し・巻取りのいずれか一方の力が強いと力が強い側に余剰にフィルムが滑ってキズなどの不具合発生原因となります。

■抱き角が小さい
・エア(空気)の噛み込みを抑えられる(上側からの通紙)
・ラミネート接点のニップ部で不具合が起きにくい
・ローラーが張力の影響を受けにくい

スリッター機はこの大小の抱き角が持つ特性も考慮して設計されています。
例えばガイドローラーは重力の影響を受けて極微小に撓んで(たわんで)います。重力方向にフィルムが搬送されるパスラインでは撓みがきつくなりシワの要因になってしまうので、張力の影響を受けにくい小さい抱き角にするか、抱き角が大きい場合は天井側へ抜けていくパスラインで設計されることが多いです。
※多くの要素を勘案して総合的に設計されるため、必ずしも上記の通りであるとは限りません。実際はローラー径を大きくするなど様々な解決方法があります。


※重力と張力の両方の影響を受ける。


※重力と張力のバランスがとれる。

ONO plusには抱き角の特性を利用したスリットをご提案できる機械があります。稼働するガイドローラーを前後に動かすことでスリット刃ローラーに抱かせてスリットしたり、フィルムを空中に浮かせてスリットしたりできます。
フィルムをローラーに抱かせると切断抵抗が高くなりますが、より一層綺麗に・正確にスリットすることができます。しかし、切断抵抗が高くなるということは切りにくくなる(刃が入らずに浮いてくる)ことと同義ですので、厚くコシのあるフィルムや元々切断抵抗の高いフィルムは、切断抵抗の少ない直線切りや空中切りを行うことがあります。



また、過去には分厚いフィルムやシートをスリットするために特別なパスラインをご紹介したことがありました。こちらは巻き癖が、抱き角を小さくすることで品質的な影響を受けないことを目的としております。(厚膜フィルムの加工について

加工風景にご興味がございましたら是非弊社工場まで見学にお越しください。
(WEBを利用した工場案内にもご対応させて頂きます)

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